秋のマドリ-ドはキリっと晴れの日が続いています。娘たちを学校に送った後はゆっくり散歩しながら家に帰るのが日課です。
私が住むマドリ-ド、アルガンスエラ区のお気に入り散歩道は【Matadero】。Mataderoとは食肉処理場、屠畜場(とちくじょう)の事です。
現在は映画館や劇場、展示会場などのソーシャルカルチャースペースに変わり、常にアップデートされた情報を発信する最新の場所です。約100年前の建物を残しながら斬新に改装された建物。
色使いやデザインが鮮やか!開催されているイベントも様々で老若男女問わず楽しむことができます。メインのオープンスペースは季節に合わせたイベントが開催されます。年明けにはアイスリンクが出来るのですが、今年はどうなるか…。2020年11月からアイスリンクが登場しました。お気に入りだった月の最後の週末に開催されるオープンマ-ケットは、ビール片手に地元の美味しい物を堪能できる人気のマーケット(現在は2020年9月以降開催中止です)。
1911年スペインの北の街、ログロ-ニョ出身Luis Bellido(1869-1955)が屠畜場開発プロジェクトの指揮官となります。敷地内全体の設計はドイツからインスピレーションを受けながらも、建築自体はスペイン特有のムデハル様式が取り入れられました。(※ムデハル様式はキリスト教統治時代に栄えたアラブ様式の建築)。さらに、市場内に最新の機材を取り入れます。巨大冷蔵庫、製氷工場、約900頭の牛を収容できる食肉処理場、衛生管理棟、敷地内には鉄道が走り、各地から運ばれる食材を全て管理できるようになっていたのです。
当時48戸もの建物が計画されたため、なんと完成まで10年の月日がかかりました。
1924年完成したものの、1936年に勃発した内戦により一時期は爆弾保管所になります。その後、マーケットのさらなる拡大によりマドリ-ド南に新しい市場計画がたてられます。完成したのが現在のMercamadrid。それに伴い、1996年Mataderoは完全に閉鎖されました。2005年、残された建物の75%を利用し、ソーシャルカルチャーセンタ-に変えるプロジェクトが立ち上がり現在の新しい姿へと生まれ変わったのです。
例えばこちら【Naves Español】↑↑2007年に生まれ変わった多種多様なイベントが開催される最新施設。しかし入口レンガ部分をよく見ると、上記右側の写真のように「Deguello de Cerdo」とモザイクがはめ込まれています。豚の屠畜場だったのでしょう。
中は空っぽ。きっと娘たちが大きくなる頃には素敵な建物に変わっていることでしょう。過去と未来がある特別な場所。やはりここは気持ちいい。今日もそんな事を思って散歩を楽しみます。
このブログは「はてなブログ」で運営しています。
はてなブログの方は読者登録も宜しくお願いします☆